遠心ポンプキャビテーションの実験と流れ解析
エバラ時報 No.204 p.3 能見 基彦 ほか
キャビテーション流れ解析の検証のため、低比速度遠心ポンプの内部流れを詳細に計測した。羽根車には圧力変換器を装備し、羽根の圧力面、負圧面の非定常圧力分布を測った。入口ボリュートと羽根車側板を透明にして羽根車内のキャビテーションを詳細に可視化観察した。流れ解析では密度-圧力を一価関数で表すモデルを用い、キャビテーションを数値解析した。最高効率点では、キャビティは羽根負圧面の中程に初生し、NPSHを下げることにより下流に伸張する。スロートに達すると、圧力面前縁にもキャビティが発生し揚程が急低下することが分かった。この過程は、流れ解析により妥当に計算できることを確認した。
スポンジ担体を用いた流動床型生物膜処理法による高負荷処理
エバラ時報 No.204 p.8 徳野 光宏 ほか
スポンジ担体(エバフォームII型)を用いた流動床型生物膜処理法で製紙工場排水処理の現地実験を実施した結果、COD容積負荷4kg/(m3・d)以下の条件で、S-COD除去率65%以上、また、BOD容積負荷3.5kg/(m3・d)以下の条件でS-BOD除去率90%の高い除去性能が得られた。この結果に基づき、製紙工場排水設備としてスポンジ担体を用いた流動床型生物膜処理設備を納入し、設計S-COD容積負荷2.5kg/(m3・d)以下の運転条件で、設計条件であるS-COD除去率60%を達成している。今後は、ほかの産業排水や小規模下水処理への水平展開が期待できる。
し尿系汚泥と生ごみを対象としたメタン発酵実施設の処理特性
エバラ時報 No.204 p.14 米山 豊 ほか
し尿系有機性廃棄物と、家庭からの生ごみを対象にした高温メタン発酵処理の実設備からなる汚泥再生処理センターが日本で初めて2000年に稼動した。約2年間のメタン発酵処理データを基に、し尿系汚泥性状、生ごみ性状、メタン発酵処理特性、水処理への返流水の影響、ガス発電によるエネルギー回収などについて検討した。その結果、2年間安定したメタン発酵処理成績が得られ、生ごみ投入量が多くなった2001年度ガス発電量は月平均で最大2240kWh/dに達した。これは、汚泥再生処理センターの総電力量の15.3%に相当した。メタン発酵処理から発生する返流水が流入するため、活性汚泥原水のBOD/Kj-N比は返流水がない場合に比べ低くなる傾向にあり、第2脱窒素槽のメタノール添加量が多くなった。しかしメタノール増加量は全体のコストからみると影響はわずかであった。このように、実プラント規模で有機性廃棄物の有効利用が可能となった。
分子生物学的手法による汚染土壌浄化にかかわる微生物の解析
エバラ時報 No.204 p.23 宮 晶子 ほか
バイオレメディエーションによる石油汚染土壌修復の高効率化、安定化のためには、土着微生物群の群集構造と石油分解特性との関係を明確化し、土壌に応じた最適な施工法を開発する必要がある。
実際の石油汚染土壌を用いて、原油とフェナントレンをそれぞれ炭素源として用いた石油分解実験を行い、各土壌の石油分解特性を把握すると共にPCR-DGGE法により石油分解微生物群集構造を解析し、優占石油分解細菌の同定を試みた。
その結果、適切な培養法と微生物解析を組み合わせることにより、石油汚染土壌のバイオスティミュレーション効果の予測が比較的短期間でできる可能性が示唆された。
環境エンジニアリング事業の業務改革を支援する統合管理システムの開発
エバラ時報 No.204 p.28 北村 輝明 ほか
近年、循環型社会の構築、地球温暖化への対応、環境保全と安全性の確保、規制緩和、公共投資の削減などの社会的な要請がある。このようななかで、環境エンジニアリング事業が『21世紀において収益力ある事業』として生き残っていくためには、大型プロジェクトへの対応を可能とするビジネスプロセスの改革、最適なプロジェクト管理の確立、海外市場への進出を可能とする国際的規格への適応、大幅な「建設コストの最小化」、「提案力強化」などが必要である。
本稿ではこのような業務改革を支援するために最新のIT(Information Technology)を活用して構築した、環境エンジニアリング事業を支援する新統合管理システム(e-HUMAN's)の概要について紹介する。
環境エンジニアリング事業の情報化に伴う情報基盤の改革
エバラ時報 No.204 p.33 大河内 哲郎 ほか
規制の緩和、公共投資削減などの経営環境の変化に対応して、環境エンジニアリング事業において事業の根幹をなすドキュメント管理、プロジェクト管理、外部調達機能の強化による大幅な業務改革を支援するため、オープン系統合管理システムe-HUMAN'sを構築した。本稿では、e-HUMAN'sを総合的に支援し、合わせて、必要なセキュリティを確保しつつ、ホストの運用管理コストの増大、オープン系システムの運用・管理の困難さ、既存システム運用・保守のリスク増大を解決するために実施した、新しい情報基盤構築の思想と諸々の取組みについて紹介する。
マンホールポンプ用Web監視システム
エバラ時報 No.204 p.41 富永 英子 ほか
マンホールポンプ施設の通報装置・監視システムの分野では、効率よく、統括的に維持管理を行う手段としてITが利用されてきている。そのなかで「EMMD-Webユニット」は、維持管理者が効率的にマンホールポンプ施設の状態監視を行う装置として開発され、日常業務で使っているパソコンに標準装備されているWebブラウザを利用して監視ができるようになっている。そのEMMD-Webユニットを使用した新しい監視スタイルである「マンホールポンプWeb監視システム」を紹介する。
ジェットエンジン燃料供給ポンプユニット
エバラ時報 No.204 p.47 関野 孝久 ほか
羽田空港内「ANAエンジンテストセル」向けに、ジェットエンジン試運転用「燃料供給ポンプユニット」を納入した。ジェットエンジンは、安全運航のために定期的に分解・点検が行われ、その最終工程において負荷試運転が実施される。本燃料ポンプユニットは、試運転が行われるジェットエンジンの形式、運転負荷状態に合った流量・圧力のジェット燃料をジェットエンジンへ供給する設備である。
本報では、本燃料供給ポンプユニットの概要、特長、構成機器、制御方法について報告する。
新田原井堰発電所
エバラ時報 No.204 p.51 浅野 毅 ほか
新田原井堰は岡山県吉井川に200万m3の貯水量をもつ井堰として建設されており、新田原井堰発電所はこの井堰の豊富な水量を利用して運用されている。
今回納入したチューブラ水車のローラねじ機構を採用した電動駆動方式のランナベーンサーボモータ機構は従来にない新技術である。当社の実績として全電動バルブ水車は初めてである。本発電所の概要を紹介する。