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エバラ時報 No.254

市場のニーズを確実に掴み,グローバルな事業展開を図る

縁の下の力持ち 冷凍機-冷温熱を生み出す隠れた主役-

 駅ビルや百貨店に入ると快適な空気に包まれます。これは,空調システムが建物内の空気の温度・湿度などを所定の条件に調整しているからです。冷凍機は1850年代に実用化され,当社は1930年に国産第一号のターボ冷凍機を生産開始しました。大型ビルや工場の空調,工場プロセスの冷却などに幅広く使用されています。以下に冷凍機の種類と原理について説明し,当社のメンテナンス技術を紹介します。

インバータ標準搭載ターボ冷凍機RTXF型

 省エネルギー・コンパクト・短納期を特長とする新型ターボ冷凍機RTXF 型を開発し,販売を開始した。本製品は,当社主力製品であるRTBF 型に続く新機種として位置付けられ,構造を刷新することで,省エネルギー・コンパクト化・短納期を達成した。本機の特長はインバータを標準搭載としたギアレス構造の圧縮機にある。新型冷凍機の評価試験では,現行機RTBF 型と同等以上の性能を得た。

超低温ブラインターボ冷凍機RTSF型

 −20℃程度のブラインと呼ばれる不凍液が,プロセス負荷冷却のため,化学プラントなどで使用されている。当社では,このようなブラインを冷却するターボ冷凍機を製造・販売していたが,更なる高効率化が求められるようになり,新機種のニーズが高まっていた。そこで,2009年から市場投入し,ユーザから高い信頼をいただいているターボ冷凍機RTBF型の技術をベースとした超低温ブラインターボ冷凍機RTSF 型を開発・製品化し,2016年4 月から販売開始した。

縁の下の力持ち 冷却塔

 エバラの製品のなかでも,冷却塔(クーリングタワー)は,みなさんに「見たことがある」と言ってもらえるものだと思います。エバラは,冷却塔のトップメーカーでもあるのです。ここでは冷却塔の基本の動作原理や活用例,省エネルギーを目指したフリークーリングなどをご紹介します。冷却塔を見かけたとき,こんなふうになっているんだなと,さらに身近なものに感じていただければ幸いです。

大型工業用節水機能付き冷却塔

 内モンゴル伊泰石油化工有限公司に大型工業用冷却塔を納入した。本製品は,冷却塔内部に空冷熱交換器を組み込むことによって節水機能と白煙防止機能を実現した。大型の工業用水循環設備で広く利用されている冷却塔の循環水量は膨大な量であり,蒸発量も大量である。本冷却塔は,節水機能を備え,水資源の乏しい地域の節水に大きく貢献するものである。また,冷却塔から発生する白煙は公害をイメージさせるため,白煙防止機能も組み込まれている。ここでは,本冷却塔を紹介するとともに,節水機能と白煙防止機能の動作原理について説明する。

泡沫分離装置を併設した海水淡水化前処理プロセス

 逆浸透(RO)膜を用いた海水淡水化施設では,RO 膜の性能を維持するために砂ろ過やUF 膜などの前処理装置を設置する。これらの固液分離装置の安定化処理のために,前段に泡沫分離装置を設置するプロセスを考案した。ここでは,泡沫分離装置で除去可能な濁度成分の他,RO 膜のファウリングの原因物質となるTEP(Transparent Exopolymer Particles)やバイオポリマーの除去効果について報告する。ラボ試験では泡沫分離装置の性能を確認するとともに,TEPがRO 膜の処理性能に与える影響について調査した。パイロット試験では,東京湾の海水,及びインドネシアの海水を対象に海水淡水化連続試験を行い,泡沫分離の設置効果について検証した。

「腐食防食講座-高温腐食の基礎と対策技術-」
第4報:焼却プラントにおける高温腐食と対策

 燃料中に塩素を含む焼却プラントにおいて,塩素による腐食は避けて通れない課題である。高温腐食防止の最大のポイントは,保護的な腐食生成物を形成させることであるが,塩化腐食の場合,生成する塩化物は緻密性に欠け保護皮膜としての機能は極めて低い。さらに塩化物は一般に融点が低くまた蒸気圧が高いなどの特徴があり,それによって様々な特徴的な腐食を引き起こす。本報では,超高温での塩化物の揮発,鋳物での粒界腐食,摩耗が関与する場合など,これまでにボイラ以外で経験した様々な部位における塩化に関する高温腐食問題とその対策について解説した。また実際の焼却炉における腐食問題として避けて通れない結露による腐食についても一部述べた。

武蔵野市向け ごみ処理施設の納入-多彩な機能を備えた施設-

 武蔵野市向けごみ処理施設の建設工事を行い,2017 年3 月末に完成,納入した。施設はごみ焼却施設としての基本的な機能に加えて,市のコンセプトに基づく災害時を含めた周辺施設への熱電供給,景観に配慮した建築デザイン,見学者サービスの充実などの多彩な機能を備えたものとなっている。また,プラントの高い性能を確保しつつ,これらの機能を両立させ,さらに既設に隣接した狭小な敷地への建設を行うため,高度な排ガス基準値にも対応したシンプルなプロセスの採用や焼却炉,プラットホームなどの地下化によって,施設をコンパクト化している。重曹を使用した乾式排ガス処理では,従来は湿式処理の適用範囲である塩化水素8 ppm以下での運転を実現した。

船橋市向け 高効率ごみ発電施設及び余熱利用施設の納入
-地域に根付いた循環型社会形成への貢献-

 北部清掃工場を建て替え,施設規模381 t/dの焼却設備と15 t/5 hの粗大ごみ破砕設備からなる高効率ごみ発電施設(ふなばしメグプラ),及び余熱利用施設(ふなばしメグスパ)を,2017 年3 月末に千葉県船橋市に納入した。高効率ごみ発電施設では,最新式のエバラHPCC21 型ストーカシステムを採用し,排ガス再循環システムを適用するとともに,低空気比で高温燃焼を安定して継続することで,低CO と低NOx を実現できる環境負荷の低い施設となっている。また,ごみ発電に加え,ごみ発電施設の廃熱を利用し余熱利用施設へ高温水を供給するなど,グリーンエネルギーを活用し,循環型社会形成に寄与できる,地域に根付いた廃棄物処理事業への貢献が期待される。

EU基準排ガス規制に適合した高エネルギー効率焼却炉設備
の納入・運転状況-上海市 松江区・奉賢区-

 中国上海市の松江(ソンジャン)区(500 t/d× 4 炉)及び奉賢(フェンシャン)区(500 t/d× 2 炉)にストーカ式焼却設備を納入し,2016年11 月に性能試験を完了した。これらは中国大陸における荏原グループ納入9 件目と10 件目の焼却設備である。両施設は,中国最大の都市である上海市に建設され,中国における最高レベルの排ガス規制値である,EU 基準が適用されている。そのため,湿式排ガス処理システムを採用するとともに,エネルギー効率改善のため,ガス- ガス熱交換器(GGH)を採用した。本稿では,乾式(消石灰噴霧)+湿式(洗煙装置)による高度有害ガス除去性能,GGH採用による経済性改善,現在までの運転状況・性能試験結果について報告する。

ごみ焼却施設の遠隔サポートセンターの運用

 2016年6月に,神奈川県藤沢市にごみ焼却施設の遠隔サポートセンターを開設し,リアルタイムでの遠隔サポートサービスを開始した。現地の運転データ・状況及びITV 画像を遠隔でモニタリングし,各施設の安定操業をサポート(遠隔技術支援)し,さらにデータ解析によって運転及びメンテナンス計画の最適化を目指している。ここでは,遠隔サポートシステムの概要,構成,機能,約1 年間の運用実績,将来への展望を紹介する。