荏原製作所

3世紀。日本では弥生時代~古墳時代にあたるサーサーン朝ペルシア時代に完成され、現在もなお利用されている巨大な水利施設が中東イランの要塞都市、シューシュタルにある。水利施設とは、灌漑(かんがい)や排水の技術により組織的に水利用を行う施設のこと。
川の流れや地形を利用して造られたシューシュタルの歴史的水利施設は、夏季は50℃を超える過酷な地で暮らす人々に恵みの水を届けてきた。

シューシュタルの歴史的水利施設※このイラストはイメージです

水を確保し有効的に使う手段が凝縮

シューシュタルの街には水路が張り巡らされている。岩盤を掘り抜いた人工の水路だ。
水は標高4,000mを超えるザグロス山脈から流れ、イラン国内で最も長いカールーン川から街に供給されている。ポンプのないこの時代に、川のカーブを利用したダムや、高い位置に造った貯水池の水をいくつもの水路へと流すといった、高度な工夫が見られる。
役割はそれだけに留まらない。水路の途中に水車を多数設置し、貯水池から滝のように落とされた水の力を利用して製粉。水車は1日に14トンもの粉を挽いた。この製粉業によりシューシュタルの町は大きな発展を遂げる。
また、地下道に水を流すことで、冷房にも使われていた。

町の発展に欠かせない存在、電力にも

近代になると水の流れは水力発電にも利用され、1970年代初頭まで、国内で2番目の電力量を供給し続けていた。一時は衰退の一途をたどったが、その後再建に成功し、現在もシューシュタルに水を供給している。

乾燥地帯ならではの知恵と技術

イランでは岩盤を掘って造られた灌漑施設として「ペルシア式カナート」も同様に世界遺産に登録されている。カナートとは、水源地となる井戸から地下の横穴を掘って長い地下水路を造り、遠くに水を運ぶシステム。水路に沿って点検・修理用のタテ穴が点々と続いており、その穴から横に穴をつなぐ。これにより乾燥地帯でも水を蒸発させずに供給することができる。
古代イラン人が卓越した水利技術を有していたことが分かる遺産だ。
その技術は、1700年以上経った今も色あせることなく町の中心に存在している。

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