巨大地下神殿と呼ばれる大型排水機場などで、日本を洪水から守っています
日本は降水量が多く河川が急勾配であるため、洪水が起こりやすい国です。また地球温暖化に伴う気候変動の影響により、今後さらに大雨や短時間強雨の発生頻度や降水量などが増大することが予測されており、大規模な水災害が発生する懸念が高まっています。その対策として荏原は、国土交通省や自治体と連携しながら国内の排水機場へポンプを納入しており、実績はトップシェアを誇っています。
まるで地下神殿のような「庄和排水機場」(首都圏外郭放水路)
大雨により増水した水を一旦地下トンネルに取り込んでから江戸川に排水する「首都圏外郭放水路」と呼ばれる施設は、埼玉県春日部市の地下約50mにある直径10.6m、全長6.3kmにおよぶ世界最大級の地下放水路です。大雨の時に取り込まれた水は巨大地下神殿のような調圧水槽を通って、荏原が手がけた巨大な4台のポンプで河川に排水します。ポンプ4台が動くと、毎秒200tの水を排水でき、4階建てのビル(約14m)の高さまで水持ち上げることができます。これまでに一番排水量が多かった時は2015年に台風が直撃した時で、東京ドーム約15杯分の水を排出しました。
写真提供:国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所
国内最大級のポンプを使用する「毛馬排水機場」
大阪湾に近い一級河川の淀川から分流する大川に位置する「毛馬排水機場」は、高潮時の浸水防止と大雨による洪水対策を目的として1970年代に建設され、周辺の市街地を中心とした地域を守り続けてきた排水機場です。今後も長期にわたって活躍する為に現在工事が実施されています。この排水機場には直径4mの羽根車を搭載した大型ポンプ6台設置されています。このポンプは運転中でも羽根の確度を変えることによって流量調整が可能です。
田畑と地域を水害から守る「新川河口排水機場」
新潟県の西蒲原地域は、新潟平野の中央に位置し、海抜0m以下の土地が約2割を占める低湿地のため排水の悪化や洪水による氾濫の危険に常にさらされていました。そこで沈下した農地の排水改良を行い、安定した農業が行えるよう川の水位低下を目的とした「新川河口排水機場」が1970年に建設されました。この排水機場には直径4.2mの羽根車を搭載した大型ポンプが6台も使われています。このポンプは運転中でも羽根の角度を変えることによって流量調整が可能です。2007年から2015年にかけて更新工事が行われ、信頼性が向上し、維持管理作業も大幅に改善しました。