日本の電力消費量削減へ「インバータ内蔵PMモータ」の開発

電力消費量を削減する新開発モータで、日本の未来を変えていく挑戦

「インバータ内蔵PMモータ」で脱炭素社会に貢献する

二酸化炭素の排出量を実質的にゼロにする「脱炭素社会」を実現するために、世の中の消費電力をもっと削減できないか。それを当社の主力事業であるポンプという側面からもアプローチしていくために、現在、建築・産業カンパニーでは「インバータ内蔵PMモータ」の開発を進め、市場への普及に向けて取り組んでいます。

建築・産業カンパニーが主に手がける汎用型のポンプは、マンションや工場、商業施設などの給排水設備等で使われおり、当社製品が日本国内市場における約30%のシェアを占めています。そのポンプを駆動させるためのモータに、回転数を調節できるインバータを新たに内蔵・搭載し、現地でポンプ性能を最適化することで、年間消費電力量の約30〜50%削減が可能になります。

インバータで回転数を調節して省エネを実現

ポンプ性能は10~20%程度の余裕を持って選定されることが一般的です。ポンプは誘導電動機で駆動されることが多く、電源周波数(50/60Hz)に基づいた定速回転で運転されます。運転性能はバルブ等で調整するため、余った性能はバルブ等で浪費され、ポンプとしては過剰な状態で運転しているのが現状でした。インバータにより回転数を調節することで、必要な性能にポンプを合わせることができるので、誰でも簡単に省エネすることが可能になります。
これまで出力の小さなポンプに別途コストをかけてインバータを採用するケースはわずかでした。だからこそ当社が提供しているポンプを「インバータ内蔵PMモータ」へ切り替えていくことで、日本全体の電力消費量の大幅削減が期待できます。

別途スペースを確保することなく設置可能

また、従来はインバータを設置するために、新たな工事やスペースの確保が必要でしたが、当社が開発したインバータ内蔵PMモータは、永久磁石同期電動機を採用することにより高効率化と既存モータ同一外形寸法を実現し、別途スペースを確保することなく設置可能としました。さらに冷却性を確保するためにインバータとモータを同時冷却できるセルフクーリング機能も搭載。当社の強みである流体解析の技術により、冷気の流れを細かく解析し、より効果的な冷却を実現しています。この「インバータ内蔵PMモータ」を市場に普及させて、日本のCO₂削減を強く推進していきたいと考えています。

日本の電力消費量削減へ貢献する

荏原の汎用型ポンプの年間生産台数は世界で約130万台以上。1台ごとの省エネ効果は小さいかもしれませんが、工場全体、地域全体、日本全体、そして世界へと規模を大きくしていけば、その省エネ効果は非常に大きなものになります。今後はより多くのお客さまに快適に使っていただけるように、さらにラインナップの拡充を図り、業界におけるチェンジメーカーとして、そして、日本の電力消費量削減の大きな一手として、カーボンニュートラルに向けた取り組みをさらに加速していきます。