ターボヒートポンプ・排熱利用吸収冷凍機

「熱を捨てずにリユースする」ターボヒートポンプ・排熱利用吸収冷凍機

世界中で再注目される「熱」のリユース

SDGsを推進するうえで欠かせない取り組みのひとつが「リユース」。限りある資源を廃棄せず、再利用しながら分かち合う社会が望まれています。再生紙やプラスチック、フードロス解決まで。そして「形があるもの」だけではありません。実は「熱」もリユースできることを知っていますか。
私たちの生活は、さまざまな「熱エネルギー」を発生させています。建築物のなかの暖房・冷房などの空調設備だけでなく、食品工場では高温(温熱)で調理し、一方で食材の保存のために冷蔵庫や冷凍庫(冷熱)を使用します。石油・化学プラントでもボイラーや蒸留塔などでさまざまな温度を作り出し加工しています。発生した熱の余剰分は、工場から排水(排温水)の形で排出されたり、ケースによっては300℃を超える高温の蒸気や排気ガスとして煙突から空気中に排出されるなど「熱が捨てられている」状況。こうした排出された熱(排熱)を別の用途に転用する「熱のリユース」は、いま世界中で再注目されており、荏原の製品が貢献しているのです。

「熱をリユース」する荏原の2つの製品

ではどのような方法・装置で熱をリユースするのでしょうか。ポンプのパイオニアである荏原は「熱を汲み上げるポンプ」の技術も持っています。製品は大きく2種類です。
1930年に荏原が国産第一号機を開発した「ターボ冷凍機」、その技術を応用した「ターボヒートポンプ」は、内部の液体や気体の圧力を変化させることで温度が昇降する性質を利用し、燃料を使わず電力で熱を回収・移動する装置です。エアコンや給湯器などにも活用されている技術ですが、排熱をターボヒートポンプに使用することで、捨てる熱から熱エネルギーを汲み上げることにより、少ない電力で大容量の温水をつくりだすことが可能です。

もう一つの装置「排熱投入型吸収冷凍機」は、水の蒸発・吸収の作用により冷水を作ります。大きなポイントは「捨てる熱」を駆動源として冷熱が得られること。従来、吸収冷凍機を運転するために化石燃料が使用されてきましたが、近頃は制御盤や補助ポンプなどの一部の機器を除き、排熱のみで駆動できる「排熱投入型吸収冷凍機」のニーズが高まっています。

熱の有効利用で、産業の未来を支える

「ターボヒートポンプ」「排熱投入型吸収冷凍機」ともに、当社の製品の中では長い歴史を持ち、日本が幾度も省エネに取り組んできたなかで技術が培われてきた製品です。近年、SDGsを背景にCO₂削減と熱の有効利用に関心が集まり、いま大きな貢献の場を与えられました。温度と熱源に合わせラインナップを細分化するなど時代に合わせアップデートを続け、工場内のエネルギーを余すことなく活用する新しい産業の未来を支えていきます。