エバラ時報 No.233 p.1 群馬大学大学院 工学研究科 教授 天谷 賢児
エバラ時報 No.233 p.3 木戸 功一
半導体工場などで使用されるドライ真空ポンプ及び排ガス処理装置を対象とする新型集中監視システムを開発した。本システムは,通信アダプタ,データ収集PC及びサーバからなる。最大1200台の機器を通信で接続し,全監視機器に対して1秒ごとにデータ収集を行う。収集したデータはデータベースに格納する。ユーザはPCからインターネットブラウザを使用してシステムにログインし,現在状態表示,蓄積したデータを用いたトレンド表示,機器履歴表示,電子メールを使用した異常発生通知などの機能により,各機器を遠隔監視することができる。
エバラ時報 No.233 p.8 庄司 洋右 ほか
大阪市は浸水対策として中浜下水処理場に雨水ポンプ設備を建設した。雨水ポンプは口径1800mm立軸渦巻き斜流ポンプで地下34mの位置に設置されている。急激な流入に対応すべく,低速回転による待機運転と全速による排水運転を可能とした。回転速度制御範囲が広いので電動機,歯車減速機を含めた振動解析を行い,共振を回避した設計を行った。電動機の電源としてガスタービン発電機を採用し防音パッケージとあわせて低騒音化を実現し,更にガスタービンエンジン燃焼器に純水噴霧を行い,窒素酸化物発生量を抑制して環境対策を実施した。
エバラ時報 No.233 p.14 高橋 貞良 ほか
タイ国バンコク郊外の某工場に新型蒸気吸収冷凍機の冷熱源設備1式を納入した。2006年11月に蒸気吸収冷凍機(RAW型※3516kW)×3台の冷熱源設備納入に続くものである。今回機種は顧客増設対応により,高効率新型蒸気吸収冷凍機RGWA型※4571kWを設備一式納入した。今回設備の特長は吸収冷凍機としては,省エネルギー性が良く高効率タイプである。省エネルギー性の指標となる成績係数(COP)は吸収冷凍機としては高く,単体COP1.38になる。今後,地球環境への負荷を考慮したノンフロンタイプとして需要が増える可能性がある。※RAW型,RGWA型は荏原冷熱システム㈱の機種記号である
エバラ時報 No.233 p.17 塚本 輝彰 ほか
一般廃棄物処理を取り巻く状況はこの20年間で大きく変化してきた。同時に,それに求められ技術も変化し,エネルギー有効利用,ダイオキシン類の低減,最終処分量の低減や溶融技術,リサイクル技術等多岐にわたっている。また,それらに対する施策により,処理する廃棄物性状や社会が求めるプロセスも同様に変化してきた。荏原環境プラント(株)は,長い経験と独自開発技術を活かし,柔軟かつ安全な処理技術としてHPCC21(High Pressure Combustion Control 21)型ストーカを開発し,安定稼働を行い,前述の多様化したニーズに貢献してきた。
エバラ時報 No.232 p.1 長岡技術科学大学 機械系 教授 金子 覚
熱源システムエンジニアリングツール「Ene-Move」の開発
エバラ時報 No.232 p.3 栗原 康成 ほか
熱源システムの,エンジニアリングツール「Ene-Move(エネムーブ)」を開発した。このツールは,①現場の熱源システムの運用を机上で再現し,環境負荷とランニングコストを算出する「実践型熱源運用シミュレーション」,②現場の運転データを無線により採取する「現場データ収集装置」,③熱源システムのイニシャルコストを自動で算出する「熱源システム見積ソフト」,④検討された最適熱源システムを提案書として作成する「提案書ソフト」で構成される。本ツールを活用することで,熱源システムの提案を大幅に強化できる。
エバラ時報 No.232 p.9 渡辺 和久 ほか
瓜田川排水機場の新設工事が行われ,核となるポンプ設備に関わる機械設備,電気制御設備を請け負い,機器製作と機器据付工事を行った。本工事では,ポンプの点検・整備が容易な新形立軸ポンプ(楽々点検ポンプ)を採用し,ポンプ本体の維持管理費用を大幅に低減することを可能にしている。また,ポンプの水中軸受に特殊樹脂を用い無水管理運転を可能とした。吐出し樋管ゲートには,オーバーリンクゲート(門柱レスゲート)を採用してコスト削減,景観性向上を図っている。今回,当社の技術提案とその取組み及び工事工程の短縮が評価され,九州地方整備局長表彰を受賞した。
エバラ時報 No.232 p.15 高見 三義
清掃工場の運営に民間活力を導入する例が増加しつつある。荏原環境プラント(株)が納入した柏市北部クリーンセンターは自治体が長年運営してきた施設であるが,2008年度より長期責任委託事業として荏原環境プラント(株)が事業を開始した。本事業は14年間の契約であり,契約に従い,2008年度から3年間かけて段階的に業務の引継ぎを行ってきた。2008年時点で焼却施設は供用開始後17年,洗車排水処理施設は28年,粗大ごみ処理施設は31年経過しており,大規模修繕を実施し,設備の延命化を図りながら運営している。さらに,電力やユーティリティ使用量の低減や人材の効率的活用により事業運営の改善を進めている。
エバラ時報 No.231 p.1 早稲田大学 基幹理工学部 教授 河合 素直
エバラ時報 No.231 p.3 能見 基彦
キャビテーション壊食は,気泡が物体近傍で崩壊する際に発生する衝撃荷重で生じる。この現象は,単一気泡レベルでは解析可能だが,気泡群レベルの解析は困難である。キャビテーションCFDは,キャビテーションモデルと呼ばれる近似的な方法で大域的な解析を可能とし,ポンプ揚程低下の予測に用いられる。その結果に対し,壊食モデルを適用し「壊食強さ」を算出することによって壊食危険箇所や壊食量を推定する方法が,既に何種類か提案され試験的に用いられている。しかしながら決定打となる方法は見出されてはおらず,今後更なる研究が必要とされる。
エバラ時報 No.231 p.8 福住 幸大 ほか
未利用のまま捨てられることが多い工場廃温水や,コジェネのジャケット温水を利用して,プロセスで使用できる蒸気を発生させるシステムを開発した。80~90℃の廃温水を熱源としてゲージ圧力0.1~0.2MPaの低圧の蒸気を発生させる吸収ヒートポンプと,低圧の蒸気をゲージ圧力0.3~0.6MPaまで昇圧する蒸気エゼクタを組み合わせた。本システムの試験機を製作して運転試験を行い,設計した性能を満たすことを確認し,更に試験機をユーザサイトに据え付けて実証試験を実施している。本システムの導入により,ボイラで発生するCO2を削減する効果が期待できる。なお,本システムは東京ガス,三浦工業,荏原の3社共同で開発した。
エバラ時報 No.231 p.13 石川 敬一
近年,燃焼式排ガス処理装置は,安定した高い排ガス処理性能だけでなく,低ランニングコスト(省エネルギー)及び稼働率向上が求められている。G5型シリーズは,低ランニングコスト実現のため,短時間スタートアップ可能なバーナの特長を活かし,オンデマンド運転機能を装備することで,省エネルギー化を実現した。また,稼働率向上のため,処理後に発生する副生成物粉体対策として,自動粉体除去機能を装備した。更に,水壁の採用や装置内部の見える化など各機器を最適化し,高い排ガス処理性能はもちろん,コンパクトでメンテンナス性に優れた装置となった。
1炉運転時におけるタービンの発電機運転によるCO2及び経費削減への取り組み
エバラ時報 No.231 p.18 三重野 努
荏原環境プラント(株)は,佐賀市清掃工場にごみ焼却施設を納入するとともに,運転管理業務を受託した。佐賀市の御指導の下,この工場において,ごみ焼却熱を利用した発電機の効率的な運転管理を通して省エネルギーに取り組み,CO2排出量の削減に関する成果を得た。2007年から2009年の3年間で,電気使用量の削減によるCO2排出量削減は,換算値で約1290tとなり,温暖化ガスの排出抑制と経費節減に寄与した。
エバラ時報 No.230 p.1 東京大学副学長 大学院工学系研究科 教授 山田 一郎
エバラ時報 No.230 p.3 早房 敬祐 ほか
材料の疲労限度は強度設計に必要不可欠なデータであるが,簡便な評価法としてサーモグラフィを用いる方法が開発されている。この方法は繰返し荷重が負荷された測定対象物について応力振幅の増加に伴う温度変化を計測し,温度変化が急上昇し始める負荷時の応力を疲労限度とするものである。これまで,引張圧縮や曲げ荷重が負荷した平板を対象とした試験は多く行われてきたが,軸の回転曲げについて適用した事例はほとんど見当たらない。本研究では回転曲げ荷重が負荷する軸に対して上記手法を適用してその有効性を示すと共に,温度変化の時間依存性,客観的疲労限度決定法についても検討を行った。
UFPめっき装置を用いた三次元実装用シリコン貫通電極形成のための銅めっき技術
エバラ時報 No.230 p.7 長井 瑞樹 ほか
半導体業界では,半導体シリコンチップの高速化と小型化,大容量化が同時に実現できるシリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)を使用した三次元実装技術が注目されている。当社では実装用めっき装置として「EBARAUFPシリーズ」を製品化しており,銅,はんだなどのバンプや再配線用として使用され,高い生産性と信頼性をもつめっき装置として評価されている。更に同装置をTSV形成用めっき装置として適用するため,電気化学測定及び流体解析によるめっき液特性の評価や装置条件の検討を行った。納入実績の多数ある同装置を用いて優れたTSV形成用の銅めっき技術を確立することができた。
超高効率インバータ駆動ターボ冷凍機を用いた大温度差冷水供給システムの導入
エバラ時報 No.230 p.14 高橋 貞良 ほか
当社で開発した超高効率インバータ駆動ターボ冷凍機を採用した大温度差冷水供給システムを住友金属鉱山(株)菱刈鉱山本山抗へ納入した。この大温度差システムは,システム入口25℃,出口5℃の温度差20℃,冷凍機温度差12℃として設計した。これにより冷凍機のCOP=6.3,システムCOP=5.05とすることができた。試運転時の最大負荷でのシステムCOP値は5.76を達成した。また,坑内環境負荷に合わせて冷水供給温度を変更可能な設備とした。本施設は超高効率インバータ駆動ターボ冷凍機の特長を遺憾なく発揮できるシステム構成となり,運用においても部分負荷や負荷変動時の対応でCO2削減効果が期待できる設備となった。
エバラ時報 No.230 p.23