エバラ時報 No.201 p.11 中村 由美子 ほか
LC/MS/MSを用いて下水試料中の女性ホルモン類を一斉定量する方法を開発した。本分析法を実際に下水処理場の原水、処理水に適用し、ELISA法による分析結果と比較した。17β-エストラジオールの定量値はELISA法による値が本分析法の値より常に高く、擬似陽性による過剰評価の影響だと考えられた。更に、酵母を用いたバイオアッセイによって下水試料の女性ホルモン様活性を求め、女性ホルモン類の寄与を調べたところ、特に処理水では寄与率62.6%から69.8%と高く、中でもエストロンの寄与が高かった。下水処理場で女性ホルモン類の処理状況を把握することは環境ホルモン問題を考える上で重要であり、本分析法の開発により、実態把握が可能になったと考える。